2 -
充電システム - バッテリー
充電システムの点検
モーターサイクルの充電回路の電流を確認するには、誘導式クランプメーターを備えたDDS診断テスター を利用できます。 セ
クション6 - 11、"
充電システムの点検
"を参照してください。
DDS診断テスターを使用すると、エンジンがどのような動作状態のときに、 バッテリーの充電およびインジェクション-イグ
ニッションシステムやその他の電気部品に対して、ジェネレーターが十分な電流を供給するかを確認できます。 クランプメーターをケーブルに取り付けると、ケーブル内の電流によって発生する磁界が測定されます。
テスターは、そのトランスデューサーで自動的に較正されます。 測定された電流がプラスであれば、ジェネレーターがすべて
の電気部品に電源を供給し、バッテリーを充電していることを表します。 電流がマイナスであれば、バッテリーは放電中です。つまり、ジェネレーターが負荷に電源を供給できず、かなりの部分をバッテリーから供給する必要があることを表します。
又は、マルチメーターを使用することができます。 (セクション 6 - -11,
診断テスター
); マルチメーターのプローブをバッテリーの端子にそれぞれ接続し、直流電圧測定を選択します。エンジン回転数が 3000 のときに、測定値が
14.5
V±
0.5
となることを確認します。
重要
ケーブルにクランプメーターを逆向きに取り付けると、測定値の正負が実際のものとは逆になるので、診断を誤ることになり
ます。
バッテリーの充電
バッテリーにある点検作業のラベルを確認し、いつ電圧の確認を実施するかを決定します。
オープン回路での電圧が
12.8
V以下の場合は、バッテリーを充電してください。 放電した状態で 1 ヶ月以上放置すると、 バッテリーが劣化します。 充電の状態を確認するには、電圧計を使って電圧を測定します。
バッテリーの状態は充電の前と充電の 1~2
時間後に確認します。
重要
充電時間に充分注意してください。 触ってみてバッテリーが大変熱くなった場合は、すぐに充電を中断してください。 再充電
はバッテリーが冷えてから行ってください。
充電には必ず定電圧充電器を使用してください。
バッテリーの電極と充電器が正しく接続されていることを確認します。
次の手順に従って充電します。
充電のタイプ
電圧
電流 (A)
充電時間
(時間)
正常
12
1.8
5-10
急速充電
12
9
1
急速充電は緊急の場合のみ行ってください。
バッテリーを長時間使用しない場合
バッテリー電圧が 11.5
V 以下の場合は、バッテリーを充電する必要があります。
充電器をバッテリーに接続します。
16~17
V の電圧を使用します。
電流計に何も変化が表れない場合は、電圧を最高 25
V に上げてください。
5
分間充電します。
電流計に変化が表れた場合は、電圧を 16~17
V に戻します。そうでない場合はバッテリーを交換してください。
電解液の補充
作業
参照セクション
ライダーシートの取り外し
セクション5 - 3、
シートの取り外し
バッテリーの取り外し
セクション6 - 2、
バッテリーの取り外し
警告
バッテリーに対して作業を行う前に、関連安全規定を理解しておく必要があります(セクション1 - 3、
安全に関する一般規則
)。
バッテリーに満たされている電解液は毒性があります。硫酸を含んでいるので皮膚に触れると火傷をする危険があります。 液の補
充作業中は、保護服を着用し顔はマスクで覆い保護メガネを着用してください。 液が皮膚に付着した場合は冷水でよく洗ってくだ
さい。 液が目に入った場合は充分に (15
分ほど) 水で洗い流し、 直ちに眼科医の診察を受けてください。 液を飲み込んでしまった
場合は、水か牛乳を多量に飲み、その後酸化マグネシウム液、卵 (撹拌または泡立てたもの)、あるいは植物油を飲んでください。
爆発性のガスが発生するので、バッテリーには火花や炎、タバコその他火気や熱源を近づけないでください。 バッテリーの充電中
や閉め切った部屋でバッテリーの作業を行っている間は、部屋の換気をよくしてください。 充電中に発生するガスを吸い込まない
ようにしてください。 子供の手の届かないところに保管してください。
バッテリーを平らな場所に置きます。 保護フィルム (1) を取り外します。
警告
電解液がそのバッテリー専用のものであることを確認してください。
ビニール袋から電解液の入った容器を取り出します。 容器 (2) からキャップ付きのカバー(3) を外します。
重要
キャップ付きのカバー(3) は保管しておいてください。バッテリーの電池キャップとして使用します。
警告
封印されている部分を剥がしたり穴を開けたりしないでください。
電解液の入っている容器 (2) を逆さまにします。 6 箇所の封印されている部分をバッテリーの 6 つの注入口に合わせます。 封
印が破れるように容器 (2) を下に向けて押し、液を流し込みます。
参考
電解液の入っている容器を傾けないでください。液が一定して流れ込まなかったり場合によっては流れが中断することがあり
ます。
6 つの注入口すべてから気泡が上がってくることを確認してください。 電解液の容器を 20 分以上この位置に保ちます。
気泡の上がらない注入口が 1 つでもある場合は、その口の底部を軽くたたいてください。
重要
電解液の容器をバッテリーから離さないでください。 液の入っている部分を切ったり穴を開けたりしないでください。
電解液がすべて注入されたことを確認してください。 充分注意しながらバッテリーから液の容器 (2) を抜き外します。
電解液の容器 (2) から先に取り外したキャップ付きのバルブカバー (3) をバッテリーに取り付けます。このとき、バルブカ
バーがすべての電解液注入口を正しく閉じるように注意してください。
3 -12
AHのバッテリーの場合は、補充後最低
30
分間待ってから使用します。
12
AH以上のバッテリーの場合は、最低
1
時間は休ませてください。
キャップ付きバルブカバーを注入口の穴に乗せます。キャップはまだ締めません。 "バッテリーの充電"の記述に従い、バッテ
リーを充電します。
参考
自動減圧タイプの充電器を使用する場合は、電流(アンペア)が同等、またはバッテリーに記載されている標準充電システム
(STD)以上である事を確認します。
キャップがきちんと締まるように両手で下に完全に押します (ハンマーで叩かないでください)。
バッテリー
バッテリーに関する安全上の注意事項
警告
バッテリーに対して作業を行う前に、関連安全規定を理解しておく必要があります(セクション1 - 3、
安全に関する一般規則
)。
バッテリーは、充電中に可燃性のガスを発生させます。 バッテリーに火花や炎を近づけないでください。
バッテリーの使用に関する注意事項
このバッテリーは、メンテナンス不要な密閉タイプです。したがって、車両に装備する際に必要な作業はありません。
参考
バッテリーはいつも清潔に保ってください。 バッテリーの電極が腐食しないよう、電極にグリースを塗布してください。
警告
カバーの上部にあるバルブカバーストリップは絶対に取り外さないでください バッテリー本体、カバー、ターミナルに破損が
見られる場合や、バルブカバーが外れている場合は、
すぐにバッテリーを交換してください
。
重要
車両を 30
日以上使用しない場合は、バッテリーを取り外し、涼しく安全な場所に保管してください。
バッテリーを初めて使用するときは、充電を行う必要があります。特に、長期の在庫期間の後 (車両を販売する前) には必ず
行ってください。
バッテリーの取り外し
作業
参照セクション
ライダーシートの取り外し
セクション5 - 3、
シートの取り外し
スクリュー(1)を緩め、バッテリー(2)固定スタンドを引き抜きます。
スクリュー(3)を緩め、陽極端子の陽極ケーブル(4)及び陽極ケーブル(ABS)(5)、陰極端子の陰極ケーブル(6)を取り外しま
す。常に陰極(-)から始め、バッテリー(7)を上に引き抜くように取り外します。
バッテリーの取り付け
バッテリーサポートにバッテリー(7)を取り付け、バッテリーの陽極端子に陽極ケーブル(4)及び陽極ケーブルABS(5)、バッ
テリーの陰極端子に陰極ケーブル(6)を接続します。常に陽極(+)から始め、スクリュー(3)を差し込みます。
接点がさびていないことを確認し、防水スプレーをかけながら端子のスクリュー(3)を10 Nm ±10%のトルクで締め付けます。
バッテリー固定スタンド(2)を取り付け、スクリュー(1)を5 Nm ±10%のトルクで締め付けます。
作業
参照セクション
ライダーシートの取り付け
セクション5 - 3、
シートの取り付け
ジェネレーター
12
V、
500
Wのジェネレーターは、ジェネレーターカバーに取り付けられている固定部品(ステーター、A)と、クランクシャフトに取り付けられている可動部品(ローター、B)で構成されています。
参考
充電回路の機能を点検するには、"
充電システムの点検
"(セクション 6 - 11)の記述に従い、DDS診断テスターを使用します。
3 本の黄色ケーブルのうち 2 本の先端で電圧を測定します (どの組み合わせでも測定値は同じになります)。この電圧の絶対
値が、表に示されている規定の範囲になければなりません。
(外気温度:
20
℃)
重要
測定を行う前に、計器パネルが消えている状態 (イグニッションキーを OFF にした状態) で、ジェネレーターのケーブルを
エレクトリカルシステムから外します。
エンジン回転数
2000
6000
V
実効電圧
34
±
5
104
±
10
上記の値を大きく下回る場合は、次のような原因が考えられます:
-
ローターの部分的な消磁気
-
コイルのショート。
これらの場合、ジェネレーター全体 (ローターおよびステーター) を交換する必要があります。
テスト結果が良好な場合は、ケーブルが損傷していないか、切れていないかを確認し、ジェネレーターをキーOFF状態でレギュ
レーターにつなげます。
ジェネレーターの取り外し
作業
参照セクション
クーラントシステムのフルードの抜き取
り
セクション4 - 3、
クーラントの交換
ピニオンカバーの取り外し
セクション7 - 14、
フロントスプロケットの取り外し
エンジンオイルの抜き取り
セクション4 - 3、
エンジンオイルとフィルターカートリッジの交換
クラッチコントロールピストンの取り外
し
セクション7 - 8.2、
クラッチトランスミッションユニットの取り外し
ポンプ-シリンダーパイプの取り外し
セクション9 - 5、
シリンダー/ピストンユニットの取り外し
ポンプ-ウォータークーラーパイプの取り
外し
セクション9 - 3.3、
ウォーターポンプの取り外し
ジェネレーター側のエレクトリカルシステムのケーブルを切断します。(セクション6 -1,
モーターサイクルの配線の取り回し
)
ジェネレーターカバー、ステーター(A)、およびローター(B) を取り外します(セクション9 - 8
ジェネレーターカバーの取り外し
)。
ジェネレーターの取り付け
ローター (B)、ステーター (A)、およびジェネレーターカバーを取り付けます。
ジェネレーター側のエレクトリカルシステムケーブルを接続します(セクション6 - 1、
モーターサイクルの配線の取り回し
の表を参照)。
作業
参照セクション
ポンプ-ウォータークーラーパイプの取り
付け
セクション9 - 3.3、
ウォーターポンプの取り付け
ポンプ-シリンダーパイプの取り付け
セクション9 - 5、
シリンダー/ピストンユニットの取り付け
クーラントシステムへのクーラントの補
充
セクション4 - 3、
クーラントの交換
クラッチコントロールピストンの取り付
け
セクション7 - 8.2、
クラッチトランスミッションユニットの取り付け
ピニオンカバーの取り付け
セクション7 - 14、
チェーンスプロケットの取り付け
システムへのエンジンオイルの補充
セクション4 - 3、
エンジンオイルとフィルターカートリッジの交換
レギュレーター(整流器)
レギュレーター(1)はセミテール下の車体の後部右に設置されています。
このレギュレーターのアウターはアルミ製で、ジェネレーターによって生成された電流を整流するためのダイオードを備えて
います。 また、ジェネレーターから供給される電流を、バッテリー電圧に応じて調整する電子装置も備えています。
バッテリーが放電した状態であると、バッテリーを最適な作動状態に戻すために、必要な電流が供給されます。 逆に、バッテ
リーが充電された状態であれば、電流値は低くなります。
参考
DDS診断テスターを使用し、充電デン量を点検します。(セクション6 - 11,
診断テスター
)
レギュレーターの取り外し
作業
参照セクション
両方のシートの取り外し
セクション5 - 3、
シートの取り外し
右セミテールの取り外し
セクション5 - 3、
サイドパネル及びテールの取り外し
テンションレギュレーターコネクター(2)、及び、オルタネーターコネクター(3)をレギュレーター(1)から切り離します。
レギュレーター(1)の2本の固定スクリュー(4)を緩め、全体を取り外します。
重要
エンジン作動中にバッテリーのケーブルを外さないでください。レギュレーターに修復不可能な損傷を与えます。
レギュレーターの取り付け
サポートにレギュレーター(1)を取り付けます。
スクリュー(4)を10 Nm ±10%のトルクで締め付けます。(セクション3 - 3,
フレーム締め付けトルク
)
重要
エンジン作動中にバッテリーのケーブルを外さないでください。レギュレーターに修復不可能な損傷を与えます。
テンションレギュレーターコネクター(2)、及び、オルタネーターコネクター(3)をレギュレーターに接続します。
作業
参照セクション
右セミテールの取り付け
セクション5 - 3、
サイドパネル及びテールの取り付け
両方のシートの取り付け
セクション5 - 3、
シートの取り付け
レギュレーターヒューズ
リアサブフレーム右側のリモコンスイッチの内部に設置されている30Aのヒューズは、電子レギュレーターを保護します。
作業
参照セクション
ライダーシートの取り外し
セクション5 - 3、
シートの取り外し
交換の際は保護キャップ(A)を取り外して下さい。
切れたヒューズは、インナーフィラメント (B) が切れていることから判断できます。
重要
ショートサーキット(短絡)を防止するため、ヒューズ交換の前には、イグニッションキーを
OFF
にしてください。
警告
規定の性能と異なるヒューズを決して使用しないでください。 このルールを守らない場合には、エレクトリカルシステムに損
傷を与え、火災の原因となることもあります。
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