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マルチメーターによるエレクトリカルシステムの点検
概説
このテスターを使用すると、電気抵抗、電圧、および電流を測定できます。 マルチメーターは、大きく 2 つに分類されます。 アナログ表示のものとデジタル表示のものです。 アナログ表示のマルチメーターでは、指針の付いた表示盤が使用されます。 表示盤には、数種類の測定に対応する目盛りが付いています。 デジタル表示のマルチメーターでは、測定量を表す数値がディスプレイに表示されます。 セレクターを使用するか、プローブを挿入する穴を変えることで、測定の種類 (電圧、電流、または電気抵抗) を設定できます。 場合によっては、測定レンジを設定する必要があります。 たとえば、12 V の電圧を測定する必要がある場合は、その値に近いところで測定レンジを選択します (たとえば、15 V または 20 V)。 測定レンジを10Vに設定にする事は倫理上正しくはありません。同じ事が電流(アンペア)や電気抵抗(オーム)についても言えます。 テスターが自動的に測定レンジを設定できる場合もあります。 電圧や電流を測定する場合は、テスターの許容値を決して超えないように注意してください。
参考
DDS診断テスター(セクション6-11、DDS 診断テスター)はデジタルマルチメーターと同じ機能で使用する事も可能です。
電圧の測定
電圧の測定は、電圧が加えられている部品に対して、マルチメーターのプローブを並列に接続して行います (たとえば、ランプ電球の 2 線、リレーの 2 線、バッテリーの 2 極、コントロールユニットに電源を供給する 2 線など)。 電圧には、時間軸で一定である直流電圧と、時間とともに変化する交流電圧とがあります。 直流電圧には正負があります。 したがって、マルチメーターでは、測定する電圧の種類も選択する必要があります (直流電圧は記号 = で表され、交流電圧は記号 ~ で表されます)。
電流の測定
電流の測定は、電流が加えられる部品に対して、マルチメーターのプローブを直列に接続して行います (たとえば、ランプ電球の片方のケーブルを外し、その線の先端にマルチメーターの一方のプローブを接続し、もう一方のプローブをランプ電球に接続します。 ランプスイッチをオンにすると、ランプ電球が通常どおり点灯し、ケーブルを通して流れ込む電流の値がマルチメーターに表示されます)。 警告: マルチメーターを直列に接続したり外したりするときは、必ず電圧が加えられていない状態で行ってください。 電気部品に電圧が加えられている状態では、決してマルチメーターを直列に接続したり外したりしないでください。 電気部品に対してマルチメーターのプローブを直列に接続する場合は、偶然に外れることがないよう、しっかりと接続してください。
電気抵抗および連続性の測定
電気部品またはエレクトリカルシステムの一部について電気抵抗を測定するときは、必ず電圧が加えられていない状態で、エレクトリカルシステムとの接続を外して行ってください。 これらの測定によって、センサーの電気抵抗を確認できます。 たとえば、インジェクション-イグニッションシステムの回転数/タイミングセンサー (タイミングシャフトギアに面しています) の電気接続を外してから、マルチメーターをそのターミナルに接続して、内部抵抗を測定できます。 この測定により、センサー内のコイルが断線しているかどうかを確認できます (断線している場合、電気抵抗は無限大になります)。 電気抵抗を測定することで、エレクトリカルシステムの配線、スイッチ、およびリレーの連続性を点検することもできます。 たとえば、エレクトリカルシステムの配線が断線していないことを確認するには、そのケーブルの両端をエレクトリカルシステムから外し、マルチメーターのプローブにそれぞれ接続して、電気抵抗を測定します。 この値がほぼゼロに等しければ (約 0.3 オーム以下)、断線していません。 電気抵抗がゼロに近づくとビープ音で知らせるマルチメーターもあります。 同じ手順で、リレーまたは手動のスイッチについて、2 つの接点が正しく閉じるかどうかを確認できます。 マルチメーターのプローブをスイッチのターミナルに接続し、スイッチを閉じたときに電気抵抗がほぼゼロになること (またはビープ音が鳴ること) を確認します。 "連続性テスト" モードでマルチメーターが正しく機能することを確認するには、プローブどうしをショートさせます。 表示される電気抵抗値は実質的にゼロとなり、ビープ音が聞こえなければなりません。
保護および注意事項
マルチメーターには、保護ヒューズとバッテリーが内蔵されています。 マルチメーターが正しく機能するためには、これらの部品が常に完全な状態でなければなりません。 電気測定を行う際は、ショートを起こさないよう常に最大限の注意を払う必要があります。ショートを起こすと、エレクトリカルシステムに回復不能な損傷を与え、事故の原因にもなります。 メンテナンス作業は、必ず電圧が加えられていない状態で行います (作業を始める前にバッテリーの接続を外します)。 電流を測定する場合はマルチメーターを必ず直列に接続し、電圧を測定する場合は必ず並列に接続してください。
 
診断用テスターの概要(DDS)
"DDS" 診断システムでは、シリアル接続を通してイグニッション-インジェクションシステムを診断することができます。 システムにはまた、 車両に搭載されているさまざまな装置をテストする機能があります。 どの電気装置についても電流と電圧が測定できます。 また、個々の部品に関してテストを行い、圧力と温度を測定できます。
DDS診断テスター(1)ツール番号 97900.0215 は小型ディスプレイ(A)、BBAD自己診断モジュール(B)、ディスプレイメモリーカード(C)で構成されています。
タッチスクリーンシステム搭載の小型ディスプレイ (A) はデータを表示し、そしてディスプレイ側面に収納されているペンを使って値を設定できます。
自己診断モジュール (B) により DDS テスター(1) とエンジンコントロールユニットとの間で通信が可能になります。
ユーザーインターフェースのソフトウェアは、小型ディスプレイ (A) にあるディスプレイメモリーカード (C) にあります。
コントロールユニットには 2 つのコネクターボードがあり、 1 つのテスターの上部、もう 1 つは下部にあります。
上部のコネクターボードには以下の機能を持った次の 6 つのコネクターが付いています:
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下部のコネクターボードには以下の機能を持った次の 3 つのコネクターが付いています:
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DDS テスター (1) にプリンターを接続して、実施したテストのレポートを作成することもできます。 プリンターはテスター (1) の上部にあるシリアル通信ポート (COM1) (G) に接続して使用します。
テクニカル仕様
電源:
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診断用テスターDDS の付属品
DDS テスター (1) には以下の付属品が納められている DDS キットが供給されます:
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テスターの電源
DDS (1)ツール番号97900.0215 は、以下の方法のいずれかで電源を取ることができます:
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テスター自体のバッテリーから: バッテリー (Q) はテスターの上部にあります。 テスター (1) のバッテリーへの接続およびバッテリーの充電に関しては、DDS テスター の "ユーザーマニュアル" を参照してください。
ディスプレイを点灯するには、ボタン (T) を押します。
車両への接続
診断用テスターの電源には、直流電圧916Vが必要です。
作業中は、最低電圧より低くならないように注意してください。 バッテリーの性能が完全でない車両では、エンジンの始動時やアイドリング回転中に電圧が低くなる場合があります。 このテスターでは、電圧が9Vより下がると、実行中の操作がゼロにリセットされます。電圧が規定の値に戻ってから、再び操作の設定を行う必要があります。
DDS テスター (1) の電源は車両から以下のうちのどちらかの方法で供給されます:
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装置診断コネクター(N) に供給ケーブル及び診断ケーブル(4)ツール番号97900.0227Sを接続します。 さらに、診断ケーブルのソケット(R)をソケットアダプターバッテリー(5)ツール番号97900.0228 及び車体のバッテリーアダプターに接続します。
参考
各種装置の接続および診断の手順については、診断テスターに付属している使用説明書を参照してください。
DDS 診断テスター
"DDS" の機能の概要は次のとおりです。
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アクティブ診断 インジェクション-イグニッションシステムのトランスデューサーを作動させ、それらが正しく機能することと、制御信号が正しいことを確認します (燃料ポンプ、イグニッションコイル、タコメーター、インジェクターなど)。 この機能で、イモビライザーの解除に必要なセキュリティコードの入力も行うことができます。
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タイミングベルトのテンションの点検と調整
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
参考
DDS を使用すると、エンジンをフレームに搭載したまま両方のベルトについて作業できる利点があります。 DDSに光学読み取り装置(1)ツール番号88765.1371を接続します。 このセンサーには緑色のインジケーターランプがあり、これを利用してベルトの前に正しく配置できます。 また、エミッター (A) と赤外線レシーバー (B) を備え、指で押したときのベルトの振動を測定できます。
 
 
スクリュー (3) を緩めて外し、カバー(2) を取り外します。
ABSホース(5)固定バンド(4)を取り外し、フレームのジョイント(6)から取り外します。
フィルターボックスからステッパーモーターコネクター(7)及びバーチカルシリンダーの絶対圧センサー(8)の接続を切断します。
インレット(10)固定スクリュー(9)を緩め、取り外します。
 
ブローバイバルブにホース(12)を固定しているバンド(11)を緩めます。
オイルもれタンク(14)固定スクリュー(13)を緩め、取り外します。
バンド(15)を緩め、アクセルコントロールケーブルを外さずにフィルターボックスを車体に配置します。
ホリゾンタルシリンダーのピストンが燃焼段階の上死点にくるように、クランクシャフトの位置を調整します。
そのためには、タイミングベルトローラー(16)のタイミングマーク(C)を、クラッチカバー(17)の印(D)に合わせます。
"タイミングベルトテンションの測定"の記述に従い、アーム(18)上のホリゾンタルベルトの測定を行います。
クランクシャフトをエンジンの回転方向へ 270°回し (バーチカルシリンダーの燃焼死点)、ホリゾンタルシリンダーと同じ手順を繰り返して、バーチカルベルトのアーム (19) でテンションを測定します。
ベルトテンションセンサーおよび車両の診断テスター DDS を取り外します。
 
フィルターボックスを取り付け、バンド(15)を2.5 Nm ±10%のトルクで締め付けます。(セクション3 - 3, フレーム締め付けトルク)
オイル漏れタンク(14)を取り付け、スクリュー(13)を5 Nm ±10%のトルクで締め付けます。(セクション3 - 3, フレーム締め付けトルク)
ブローバイバルブホース(12)を取り付け、バンド(11)を1.5 Nm ±10%のトルクで締め付けます。(セクション3 - 3, フレーム締め付けトルク)
インレット(10)を取り付け、スクリュー(9)を5 Nm ±10%のトルクで締め付けます。(セクション3 - 3, フレーム締め付けトルク)
ステッパーモーターコネクター(7)及びバーチカルシリンダーの絶対圧センサー(8)を接続します。
ABSホース(5)をフレームジョイント(6)に固定し、バンド(4)を交換します。
カバー(3)を取り付け、スクリュー(2)を3.5 Nm ±10%のトルクで締め付けます。(セクション3 - 3, フレーム締め付けトルク)
 
タイミングベルトテンションの測定
DDS装置(20)ツール番号97900.0215のスイッチを入れます。"テスターの電源"参照してください。
電源/診断ケーブル (測定モジュール) (21)ツール番号 97900.0222 をDDS テスター(20)の測定モジュールコネクター(F) に接続します。
ベルトテンションセンサー(1)ツール番号88765.1371を供給ケーブル及び診断ケーブル(測定モジュール)(21)ツール番号97900.0222のソケット(V)に接続します。
ベルトカバーの固定スクリュー (22) を使って、ベルトテンショナーセンサー (1) のブラケットを固定します。
センサー(1)中央の緑色のLEDランプを、点検するベルトのアーム中央部分に向けます。センサー(1)をベルトに対して軸とし、約11.5cmの距離に配置します。
DDS テスター (20) で"測定モジュール" のアイコンを押して 測定モジュール 機能を選択します。 その後 "ベルトテンション" のアイコンを押して、続いて "スタート" のアイコンを押して "ベルトテンションメニュー" に入ります。
メニューにはケーブル (測定モジュール) (21) の A、B または C のどのコネクターを使用するかが 大文字で表示されます。
ベルトを指で軽く押し、DDS 上の周波数値 (Hz) を読み取ります。
参考
DDS での読み取りには1秒間必要ですのでベルトに何度も続けて圧力を加えないでください。
 
テンションの規定値は、セクション 3 - 1.1, タイミングシステム/バルブに記載されており、エンジン冷間時に点検しなければなりません。 取り付け時の数値は、新しいベルトを取り付ける際に使用します。リセット値は、ベルトテンションが70Hzに達した際に使用します。
警告
通常の調整作業を行うと、タイミングベルトのテンションは減少するはずです。 ベルトテンションの点検時、70Hz 以下の数値が検出された場合は、規定値のテンションが得られるように、再調整を行います(セクション3 - 1.1, タイミングシステム/バルブ)
 
ナット(24)を緩めテンショナー(23)を作動し、テンション値が正常ではなく、ベルトを張ったり緩めたりする場合、 テンションを上げるにはツール番号88713.3497を使用します。
テンショナー固定ナット(24)を締め付けます。
タイミングベルトのテンションの値をもう一度測定します。
規定のテンション値が得られるまでこの操作を繰り返してください。
テンション値が希望通りの値になったら、テンショナー(23)固定ナット(24)を25 Nm (最小22 Nm - 最大28 Nm)のトルクで締め付けます。(セクション3 - 3, エンジン締め付けトルク)
アイドリングの点検
エンジンが電子制御装置、インテークシステム、OEMエキゾーストシステムを完備していることを確認してください。これらがない場合には、オリジナル部品を取り付けてください。
排気ガス分析器(部品番号:88713.1010) を、分析器のコネクターを使ってエキゾーストホースプラグに接続します。
警告
バーチカルシリンダーにDESが装備されているバージョンでは、排気ガス分析器がショックアブソーバープレロード(A)のホースに接触することがあります。熱による破損を防ぐため、二つの部品(ホース及び分析器)を注意深く分離してください。
スロットルボディのプリーがアンチスティックスクリューにしっかり入っていることを確認してください。
ガスケーブルに適切な遊びがあることを確認してください。
 
エンジン高温時及び低温時におけるアイドリング及び最小CO含有量の点検:
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システムが自動的にアイドリングを1300から1400 rpmの値を保つことを確認します(アイドリングが高すぎる場合は、インレット内にひびや割れ目がないこと、インレットがエンジンに正しく取り付けられていること、圧力センサーのホースに割れ目がないことなどを確認してください アイドリングが低すぎる場合は、同時に両方の熱バイパス(2)を1/4回転ずつ開けてください。
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DDS上のエンジン温度が 50°-6℃ になるまで放置します。 DDS上の気温を考慮しなければ、エンジン温度がこの範囲ならばCOは両方の熱センサー上で1.5%以上でなければなりません。 この点検で異常がある場合は、異常熱センサーの点検(遊び、ピッチ、バルブの機密性など)をおこなってください。
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DDS上のエンジン温度が 85℃になるまで放置します。 DDS上の気温が19°Cから35℃の場合は、この範囲のエンジン温度では両方の熱センサー上でCOは0.4%から1.4%でなければなりません。 この点検で異常があり場合は、異常熱センサーのラムダセンサーを交換し、それでも改善されない場合は、異常熱センサーの点検(遊び、ピッチ、バルブの機密性など)をおこなってください。
警告
CO値の点検中にエンジンを停止した場合、ラムダセンサーが機能し、再始動後の濃縮を完了するまで、エンジンを再始動してから3分間待ちます。
 
エンジンオイルプレッシャーの点検
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
 
潤滑系統の圧力を測定するには、エンジンオイルプレッシャーセンサー (19) の接続プラグを次の手順で利用します。
 
プレッシャースイッチ (1) のコネクター (F) を外し、ガスケットに注意してプレッシャースイッチを取り外します。
コネクターにホースキャップ(2)(部品番号875.1.065.1A)及びコネクター(3)(部品番号814.1.114.1A)を挿入し、銅シール(4)を間に挟みます。 ネジ穴にホース(2)のコネクター(3)を取り付け、最後まで締めます。 コネクター (3) に プレッシャースイッチ (1) をガスケットとともに再び取り付け、エレクトリカルシステムのコネクター (F) に接続します。
ホース(2)にプレッシャーセンサー(5)(部品番号552.1.039.1A )を接続します。センサーは圧力値を電気信号に変換します。
"テスターの電源”を参照してDDS(6)テスターの電源を入れます。
電源/診断ケーブル (測定モジュール) (7)部品番号97900.0222 をDDS テスター(6)の測定モジュールコネクター(B) に接続します。
プレッシャーセンサー (5) をケーブル (7) のコネクター (A) または (C) に接続します。
DDS テスター (1) で"測定モジュール" のアイコンを押して 測定モジュール 機能を選択します。 その後 "圧力 測定" (D) のアイコンを押して、続いて "スタート" (E) のアイコンを押します。
メニューにはケーブル (測定モジュール) (7) の A、B または C のどのコネクターを使用するかが 大文字で表示されます。
エンジンを始動させます。
値の表示方法には合計 3 タイプ (1 つの数字タイプ、および 2 つのグラフィックタイプ) があります。 タイプを選択するには、"数値の表示"アイコンを押します。
測定値は (A) または (C) の文字で表示され、測定に使用されたケーブルと同一になります。 つまり、ケーブル (3) のコネクター (A) を使用した場合、測定値は画面の文字 (A) の値になります。
オイルプレッシャーの点検値:
エンジン暖機時
(オイル温度 =80℃ 以上)
11001300rpm
0.8 bar 以上
35004000rpm
4 bar 以上
重要
決して、最大圧力は6.0bar を超えてはなりません。
 
圧力が高すぎる場合は、圧力解放バルブのひっかかりが原因と考えられます。 反対に、圧力が低すぎる原因としては、圧力解放バルブが開いたままになっている、スプリングが弱すぎる、ポンプに支障があるなどが考えられます。 その他、ガスケットの過度な摩耗、またはエンジン自体の摩耗も考えられます。
 
ツールを取り外し、プレッシャースイッチ (1) をガスケットとともに再び取り付けます。 19 Nm ±10%のトルクで固定します。(セクション3 - 3, フレーム締め付けトルク)
エレクトリカルシステムのコネクター (F) をプレッシャースイッチに接続します。
DDS 診断テスターを取り外します。
 
エンジンシリンダーのコンプレッションの点検
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
 
エンジンの性能は 2 つのシリンダー内の燃焼室で測定できる圧力の値と直接関連しています。 過度な圧力、不十分な圧力、またはシリンダー間の過度な差異は、エンジン性能を低下させるだけでなく、故障の原因となります。
 
 
バーチカルヘッドスパークプラグで作業を行うには、スクリュー(1)(2)を緩めてタンクを持ち上げ、タンク下部にドリフトを設置します。
フューエルセンサーコネクター(3)、フューエルポンプコネクター(4)、およびフランジクイックコネクター(5)を切り離します。
ホリゾンタルヘッドスパークプラグで作業を行うには、ラジエーターを少し上に持ち上げてスクリュー(6)を緩めます。
エンジンを少なくとも1回電動ファンが始動するまで暖機します。
スロットルバルブを完全に開きます。
両方のスパークプラグのナット(8)を緩めて、スパークプラグ-コイルのケーブル(7)を取り外します。
点検するシリンダーのスパークプラグを取り外します。
火花が出ないよう、スパークプラグケーブルをアースに接続します。
スパークプラグの所定の位置にコンプレッションシリンダーケーブル(部品番号552.1.038.1A)を取り付けます。
圧力センサー(部品番号552.1.039.1A)をケーブル(部品番号552.1.038.1A)に接続します。
"車両への接続"を参照し、DDSテスター(9)の電源を入れます。
電源/診断ケーブル (測定モジュール) (10)部品番号97900.0222 をDDS テスター(9)の測定モジュールコネクター(B) に接続します。
圧力センサー(部品番号552.1.039.1A)をケーブル(10)(部品番号97900.0222 )のソケット(A)または(C)に接続します。
参考
一度に 1 つのシリンダーのみを作動させて値を測定します。
DDS テスター (9) で"測定モジュール" のアイコンを押して 測定モジュール 機能を選択します。 その後 "シリンダーコンプレッション" (D) のアイコンを押して、続いて "スタート" (E) のアイコンを押します。
メニューにはケーブル (測定モジュール) (10) の A、B または C のどのコネクターを使用するかが 大文字で表示されます。
圧力が上昇しなくなるまで、スターターモーターでエンジンを回します。
各シリンダーについて圧力を点検します:
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標準値: 1112bar
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圧力が高すぎる場合は、次のような原因が考えられます:
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圧力が低すぎる場合は、次のような原因が考えられます:
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スパークプラグを取り付け、コイルケーブル-スパークプラグ(7)を所定の位置に置き、ナット(8)を10 Nm (最小9 Nm 最大11 Nm)のトルクで締め付けます。(セクション3 - 3, フレーム締め付けトルク)
ウォータークーラーをサポートに取り付け、スクリュー(6)を10 Nm ±10%のトルクで締め付けます(セクション3 - 3, フレーム締め付けトルク)。
フューエルセンサーコネクター(3)、フューエルポンプコネクター(4)、およびフランジクイックコネクター(5)を接続します。
フューエルタンクを取り付け、スクリュー(1)及び(2)を10 Nm ±10%のトルクで締め付けます。(セクション 3 - 3, フレーム締め付けトルク)
 
 
燃料圧の点検
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
 
 
スクリュー(1)及び(2)を緩め、フューエルタンクを少し持ち上げます。その後、その下にフランジのコネクターを作業できるようドリフトを取り付けます。
給油ホース(3)2本のうち1本を外します。
デリバリータンクホースのコネクターの端(D)に燃料圧ホース(4)(部品番号590.1.189.1A)を、給油ホースの端(E)を燃料供給ホース(3)に接続し、使用します。 これにより、プレッシャープラグ (F) が得られます。
圧力信号を電気信号に変えるため、圧力センサー(6)(部品番号552.1.039.1A)をホース(4)のプレッシャープラグ(H) に接続します。
"テスターの電源"を参照してDDS(7)テスターの電源を入れます。
電源/診断ケーブル (測定モジュール) (8)(部品番号97900.0222)をDDS テスター(1)の測定モジュールコネクター(E)に接続します。
圧力センサー(6)(部品番号552.1.039.1A)をケーブル(8)のソケット(A)または(C)に接続します。
DDS テスター (7) で"測定モジュール" のアイコンを押して 測定モジュール 機能を選択します。 その後 "圧力測定" (F) のアイコンを押して、続いて "スタート" (G) のアイコンを押します。
メニューにはケーブル (測定モジュール) (8) の A、B または C のどのコネクターを使用するかが 大文字で表示されます。
値の表示方法には合計 3 タイプ (1 つの数字タイプ、および 2 つのグラフィックタイプ) があります。 タイプを選択するには、"値の表示" (H) のアイコンを押します。
測定値は (A) または (C) の文字で表示され、測定に使用されたケーブルと同一になります。 つまり、ケーブル (8) のコネクター (A) を使用した場合、測定値は画面の文字 (A) の値になります。
最大圧力は3bar(公称)でなければなりません。
点検が完了したら診断テスターを取り外し、給油ホース(3) をクランプで元どおり取り付けます。
フューエルタンクを取り付け、スクリュー(1)及び(2)を10 Nm ±10%のトルクで締め付けます。(セクション3 - 3, フレーム締め付けトルク)
 
ガイド診断
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
 
DDS テスターは車両の部品、電子システムの電気図、および部品の位置情報などに関してワンステップずつ異なる診断方法についてオペレーターに従って、記述説明をします。
 
"テスターの電源"を参照してDDS(1)テスターの電源を入れます。
診断コネクター (F) と電源および診断ケーブル(2)(部品番号97900.0227) を車両の診断コネクター(3)に接続します。
"Menu 1 ボタン" (A) を押して通常機能のメニューに入ります。
"車両の選択" のアイコンを押し、次の画面で "車両の選択" のアイコンを押します。 モデルを選択して確認し、次にバージョンを選択して確認します。
"システムの選択" のアイコンを押すと、確認する車両のシステムが画面に表示されます。
画像に映し出されるオプションの中から以下の物を選択し、"決定"のアイコンを押します。
"コントロール診断" (C) のアイコンを押して"ガイド診断" 機能に入ります。
正しい診断のために実行する操作を示す、一連の画面が表示されます。
システムに異常があるかどうかを知るために、"自己診断" のアイコンを押して自己診断機能に入ることができます。 エラーがある場合は、シンボル (D) が表示されます。 エラーの内容を知るには、"エラー" (E) のアイコンを押します。 エラーが検出された場合には、"ガイド 診断" (C) のアイコンを押してガイド診断を使用し、解決することができます。
DDS テスターがエンジンコントロールユニットの検査を行い、検査中の各構成部品とそのデータ値を表示します。
 
充電システムの点検
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
 
"電流計" 機能を選択すると、エンジンがどのような動作状態のときに、 バッテリーの充電およびインジェクション-イグニッションシステムやその他すべての電気部品にジェネレーターが十分な電流を供給するかを確認できます。 電流計クリップ(1)(部品番号88765.1126V ) をケーブルに取り付けると、ケーブル内の電流によって発生する磁界が測定されます。
 
"テスターの電源"を参照してDDS(2)テスターの電源を入れます。
電源/診断ケーブル(測定モジュール)(3)(部品番号97900.0222)をDDS テスター(2)の測定モジュールコネクター(D)に接続します。
電流計クリップ(1)を電源および診断ケーブル (測定モジュール) (3) のコネクター (E) に接続します。
警告
クランプメーターは電流の流れているケーブルに接続しないでください。
 
電流計クリップをバッテリーのプラス極ケーブルに取り付けます。このとき、電流計クリップに刻印されている矢印をバッテリーのプラス極(+)に向けてください。
DDS テスター (2) で"測定モジュール" のアイコンを押して 測定モジュール 機能を選択します。 その後 "電流計" (F) のアイコンを押して、続いて "スタート" のアイコンを押します。
メニューにはケーブル (測定モジュール) (3) の A、B または C のどのコネクターを使用するかが 大文字で表示されます。
測定された電流がプラスであれば、ジェネレーターがすべての電気部品に電源を供給し、バッテリーを充電していることを表します。 電流がマイナスであれば、バッテリーは放電中です。つまり、ジェネレーターが負荷に電源を供給できず、かなりの部分をバッテリーから供給する必要があることを表します。
重要
ケーブルに電流計クリップを逆向きに取り付けると、測定値の正負が実際のものとは逆になるので、診断を誤ることになります。
 
インストルメントパネル上の"定期点検"インジケーターの消灯
インストルメントパネルのディスプレイ上に、定期点検のの必要性を知らせる"SERV"メッセージが点灯します。 このメッセージは走行距離最初の1000km、その後は走行距離12000kmごとに点灯します。
 
メンテナンス作業を終えた後、以下の手順に従って、インジケーターを消灯する必要があります。
参考
作業中に使用されているアイコンのシンボルは、このセクションの最後の一覧表に掲載されています。
 
"テスターの電源"を参照してDDS(1)テスターの電源を入れます。
診断コネクター(A)に電源および診断ケーブル(2)(部品番号97900.0222) を、さらにこれを車両の診断コネクター(3)に接続します。
 
"Menu 1 ボタン" (B) を押して通常機能のメニューに入ります。
"車両の選択" のアイコンを押し、次の画面で"モーターサイクルの選択" のアイコンを押します。 モデルを選択して確認し、次にバージョンを選択して確認します。
"システムの選択" のアイコンを押します。
ディスプレイには確認する車両のシステムが表示されます。
オプション"ダッシュボード"を選択します。
 
"決定" (C) のアイコンを押して確認します。 次に"自己診断" のアイコンを押して自己診断機能に入ります。
DDS テスターがエンジンコントロールユニットの検査を行い、検査中の各構成部品とそのデータ値を表示します。
"設定" のアイコンを押し、専用パラメータを表示します。
"定期点検ランプの消灯"を選択し、"設定実行"アイコンを押します。
操作が実行されると"操作は正しく実行されましたか?"というメッセージが表示されるので、 "決定" (C) のアイコンを押します。
操作が正しく実行されずに問題が発生すると、その内容のエラーメッセージが表示されます。 各メッセージについて“決定” (C) のアイコンを押して確認するか、または “取り消し” (D) のアイコンを押します。
参考
DDS診断テスターを使用して“定期点検の実施”ランプのリセットア操作した後、スイッチキーをOFFにし、30 秒以上待ってからキーを再びONにします。
 
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