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概説
Öhlinsのエレクロニック調整サスペンションは、ムルティストラーダ1200のスポーツエディション及びツーリングエディションに使用されています。その調整はパッシブ、すなわち、車体の動的構造に応じてシステムから自動的に行われません。
 
エンジンがかかっている状態では、ライダーは4つのライディングモード(スポーツ、ツーリング、アーバン、エンデューロ)から選ぶことができます。 それぞれのライディングモードはサスペンションの特殊調整がおこなわれます。(6 - 6 "ムルティストラーダ1200エレクトリカルシステムの概要"参照)
エンジンがかかっている状態では、ライダーはサスペンションの調整をおこなうことができます。(メニューには4つのコンビネーションがあります: ライダーのみ、ライダーと荷物のみ、ライダーとパッセンジャー、ライダーとパッセンジャーと荷物)
エンジンがかかっている状態では、ライダーはそれぞれのライディングモードに関連しているサスペンションの調整を変更することはできません。 この作業はエンジンがかかっていない状態でのみ行うことができます。
 
フロントサスペンション及びリアサスペンションには、コンプレッションダンピング調整油圧ブレーキ及びリバウンドダンピング調整油圧ブレーキがエレクトリカルに作動します(可能クリックは31回)。 フォークのそれぞれのスタンドに備え付けられているスプリングのプレロードは、通常の調整で変更されます。一方、リアショックアブソーバーのそれは、電気的に行われます(リアショックアブソーバーのスプリングは、エレクトリカルアクチュエーターから16の異なるポジションを通じて8mmまで縮めることができます。 要するに、ポジションを一つ移動するとスプリングが0.5mm移動することになります。) 油圧ブレーキレギュレーターのクリックは耳に聞こえません。 ブレーキが正常に作動しているか知るためには、まずブレーキの作動範囲の限界値に調整します。その後反対の限界値に調整し、コンプレッションに関する作動の違い、及び、フロントサスペンション、リアサスペンションのリリース(エンジンの振動)を確認します。 そして、インストルメントパネルのDDS及びディスプレイを通して、システムがエレクトロニカルサスペンションの不具合信号を送ることを確認します。
フォーク
フォークのレフトスタンド(ライダーがシートに乗ったポジションから見て)には、31クリックレギュレーターつきコンプレッションダンビング調整油圧ブレーキがあります。(最初のクリック ->時計回りにブレーキは完全にクローズ ->最大減衰、クリック31回目 ->反時計回りにブレーキは完全にオープン ->最小減衰) 作動原理
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ピンの移動により、ピストン中央部にあるバイパスの通過セクションを変更します。 このバイパスを通過するオイルはリードには作用しません。 ピンが持ち上げられると、バイパスは開き、油圧ブレーキは減圧します。 反対にピンが下げられると増圧します。
フォークのレフトスタンド上端部には、エレクトリカルステッパーモーターが挿入してあり、コンプレッションダンピング調整油圧ブレーキに作用します。
 
フォークのライトスタンド(ライダーがシートに乗ったポジションから見て)には、31クリックレギュレーターつきリバウンドダンビング調整油圧ブレーキがあります(最初のクリック ->時計回りにブレーキは完全にクローズ ->最大減衰、クリック31回目 ->反時計回りにブレーキは完全にオープン ->最小減衰)。作動原理:
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ピンの移動により、ピストン中央部にあるバイパスの通過セクションを変更します。 このバイパスを通過するオイルはリードには作用しません。 ピンが持ち上げられると、バイパスは開き、油圧ブレーキは減圧します。 反対にピンが下げられると増圧します。
フォークのライトスタンド上端部には、エレクトリカルステッパーモーターが挿入してあり、リバウンドダンピング調整油圧ブレーキに作用します。
 
フォークスタンドのスプリングのプレロードは、スタンド自身の上部にある六角スクリューを回転することで調整できます(六角スクリューを締めるとプレロードが増加し、緩めると減少します)。
図は圧縮される時のフォークの作動原理を示しています。
E
C
A
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図は拡張される時のフォークの作動原理を示しています。
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リアショックアブソーバー
Öhlins製リアショックアブソーバーは、リバウンド調整油圧ブレーキがコンプレッション調整油圧ブレーキに対して、そしてその逆に対して、影響が少ないTTXテクノロジーを採用しています。 フューエルタンクのホースとショックアブソーバーのホースのすべてが集まる導管には、2つの通路があります: 一つはフューエルタンクからホースにオイルが通過できるようにし(リバウンド)、もう一つはホースからフューエルタンクにオイルが通過できるよう(コンプレッション)になっています。 それぞれの通路にはバイパスがあり、そのセクションが増加すると油圧ブレーキが減少し、セクションが減少すると油圧ブレーキが増加します。 それぞれのバイパスの変化は、エレクトリックステッパーモーターの作動下で変化するピンによって行われます。(可能クリックは31回: (最初のクリック ->時計回りにブレーキは完全にクローズ ->最大減衰、クリック31回目 ->反時計回りにブレーキは完全にオープン ->最小減衰)。 スプリングのプレロードは水圧プレスによって変化します。 水圧プレスは、オイルが入っている密閉油圧システム、ポジションセンサー付きエレクトリカルポンプ、油圧アクチュエーターによって特徴づけられます。
水圧プレスのエレクトリックポンプがオイルの圧力を保つとき、アクチュエーターはショックアブソーバーのスプリングの負荷を増加させます(プレロードをかけながら圧をかけます)
水圧プレスのエレクトリックポンプがオイルの圧力を下げると、アクチュエーターはショックアブソーバーのスプリングの負荷を減少させます(スプリングは拡張します)
 
水圧プレスによってスプリングは、アクチュエーターの16のポジションによって最大圧縮に達し、8mmになります。(それぞれのポジションは0.5mmに相当します)
図は、エレクトリカルアクチュエーターへの電力供給コード付き(右)Öhlins製のリアショックアブソーバーを示しています。 これらはフューエルタンク及びショックアブソーバーのホース全体を接続する導管内の油圧ブレーキを変更します。 左側には水圧プレスのエレクトリカルポンプがあり、スプリングにはスプリング自体のプレロードを変化させる油圧アクチュエーターがあります。
図は拡張するときのリアショックアブソーバーの作動原理を示しています。
St フォークレッグ
T ショックアブソーバーパイプ
Se タンク
G ガス
O オイル
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図は圧縮するときのリアショックアブソーバーの作動原理を示しています。
St フォークレッグ
T ショックアブソーバーパイプ
Se タンク
G ガス
O オイル
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エレクトリカルシステム及び配線図
DES 18及びDES 10全体黒- Bk、DES 2及びDES 1供給A KEY ON (ハンズフリーリレー30から+15) 赤/黒- R/Bk.
M コンプレッション調整油圧ブレーキ-リアショックアブソーバーアクチュエーター 1 紫/白 - V/W, 2 紫/緑 V/G, 3 紫/青 - V/B, 4 紫/黄 - V/Y.
M リバウンド調整油圧ブレーキ-リアショックアブソーバーアクチュエーター 1 黄/白 - Y/W, 2 黄/ピング Y/P, 3 黄/水色 - Y/Lb, 4 黄/緑 Y/G.
M スプリングプレロード-リアショックアブソーバーアクチュエーター、S スプリングプレロード-リアショックアブソーバーアクチュエーターポジションセンサー 1 赤/黄 - R/Y, 2 赤/青 - R/B, 3 赤/黄 - R/Y (5V), 4 黒 - Bk, 5 灰色 - Gr (信号)
M コンプレッション調整油圧ブレーキ-フォーク(レフトスタンド)アクチュエーター 1 オレンジ/青 - O/B, 2 オレンジ/緑 - O/G, 3 オレンジ/黄 - O/Y, 4 オレンジ/紫 O/V
M リバウンド調整油圧ブレーキ-フォーク(ライトスタンド)アクチュエーター 1 青/黄 - B/Y, 2 青/黄 - B/Y, 3 青/紫 - B/V, 4 青/緑 - B/G
接続
油圧ブレーキ-フォースタンド接続
油圧ブレーキ-リアショックアブソーバー接続
スプリングプレロード-リアショックアブソーバーアクチュエーター接続
参考
パネルのスイッチをつけると(KEY ON)、サスペンションの油圧ブレーキアクチュエーターは限界(最大及び最小)まで達し、最終的に制御装置に記憶されているポジションで止まります。 サスペンションの作業やその交換の際には、アクチュエーターは自動的に正確なポジションで止まります。
バッテリーを取り外し、そして再度接続されると、パネルのスイッチをつけた(KEY ON)時点でスプリングプレロードショックアブソーバーの往復運動がすべて行われます。
フォークスタンドの密封オイルガードを交換することができます。
エレクトリカル調整サスペンションの不具合コード
 
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES front compression"(フロントサスペンションコンプレッションのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES front compression"(フロントサスペンションコンプレッションのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
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フロントサスペンションコンプレッションのブレーキアクチュエーターの接続が切り離されているか、エレクトリカルケーブルが損傷しています。 システムはエレクトリカルアクチュエーターの機能を解除します。
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES front compression"(フロントサスペンションコンプレッションのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES front compression"(フロントサスペンションコンプレッションのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
 
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES front rebound"(フロントサスペンションリバウンドのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES front compression"(フロントサスペンションコンプレッションのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
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フロントサスペンションコンプレッションのブレーキアクチュエーターの接続が切り離されているか、エレクトリカルケーブルが損傷しています。 システムはエレクトリカルアクチュエーターの機能を解除します。
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES front rebound"(フロントサスペンションリバウンドのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES front rebound"(フロントサスペンションリバウンドのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
 
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES rear compression"(リアサスペンションコンプレッションのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES rear compression"(リアサスペンションコンプレッションのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
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リアサスペンションコンプレッションのブレーキアクチュエーターの接続が切り離されているか、エレクトリカルケーブルが損傷しています。 システムはエレクトリカルアクチュエーターの機能を解除します。
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES rear compression"(リアサスペンションコンプレッションのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES rear compression"(リアサスペンションコンプレッションのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
 
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES rear rebound"(リアサスペンションリバウンドのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES rear rebound"(リアサスペンションリバウンドのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
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リアサスペンションリバウンドのブレーキアクチュエーターの接続が切り離されているか、エレクトリカルケーブルが損傷しています。 システムはエレクトリカルアクチュエーターの機能を解除します。
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES rear rebound"(リアサスペンションリバウンドのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES rear rebound"(リアサスペンションリバウンドのブレーキ)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
 
 
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES Pre-Load"(リアサスペンションプリロード)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します
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サスペンションのリセットコマンドを実行してください(KEY OFF -> バッテリーケーブルの切断 -> KEY ON) スプリングプレロードが最大になり、エラーは消去され、スプリングプレロードは最小値になります。
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES Pre-Load"(リアサスペンションプリロード)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
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リアサスペンションのスプリングプレロードアクチュエーターの電気接続が切り離されているか、エレクトリカルケーブルが損傷しています。 システムはエレクトリカルアクチュエーターの機能を解除します。
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES Pre-Load"(リアサスペンションプリロード)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します。
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES Pre-Load"(リアサスペンションプリロード)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES Pre-Load"(リアサスペンションプリロード)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
 
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES generic"(サスペンション一般エラー)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES generic"(サスペンション一般エラー)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES generic"(サスペンション一般エラー)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES generic"(サスペンション一般エラー)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します:
ダッシュボード(インストルメントパネル): サービスディスプレイ上に"DES generic"(サスペンション一般エラー)エラーが表示されます。 EOBDランプが点灯します: